ナショナル BL-725M
チェッカースーパーの名称は、その特徴的なスピーカーグリルの形状に由来するのでしょう。
方眼に仕切られたグリルは、その奥にあるグリーンのサランネットをバックに際立つ存在となっています。
その色使いと、フェイシアを飾るマホガニー、黒のパネル、白色ノブとのコントラストをもって、
インテリアデザインとしてのコンセプトを感じさせるものです。
それは当時、アメリカで流行中のデザイントレンドを取り入れたのでありましょう。今日もてはやされている
ミッドセンチュリーデザインに他なりません。
ただし、これは1954年の前期モデルの仕様に留まり、1955年以降の後期モデルでは木目パネルは廃され単調な黒一色となり、
スピーカーグリルの配色も変化してミッドセンチュリーな趣は無くなってしまいました。
マジックアイも廃されてコストダウン仕様になるあたり、セールス的には振るわなかったラジオだったのかも知れません。
このラジオの仕様は、ナショナルmt管スーパーの標準となる6BE6, 6AB6, 6AV6, 6AR5, 6X4プラス6E5
ハイインピーダンスANTコイルとキャパシティアンテナ装備
音質重視の7インチ ダイナミックスピーカー搭載
手元リモートスイッチ(本機では実装ありません)
ホームラジオとして十分な内容となっていました。
本機への処置内容は以下の通りです。
・電源コードの交換
・既存電源ケミコンの切り離し(シャシー上に代替品をタワー組みにて配置)
・不良ペーバーチュブラーコンデンサの交換
・新品マジックアイ交換(ソケット内部1MΩ抵抗のチェック済)
・ボリウム500kチェック、ガリ無し確認
・ダイヤルコード新調
・受信調整
・美装
美装については以下に特記させて頂きます。
・天板、側板はペイント剥離。木地を引き立てる為、オイルフィニッシュ実施。
オイル仕上げは、光の加減でさまざまな色合いが現出して多彩な表情を見せてくれます。
・フェイシアのマホガニーを挟む上下の黒帯には艶消しを選択。ここに艶を入れると良い印象にはなりません。
・グリル上部 CHECKER SUPER 掘り込み文字に赤色インレイ(差し色)実施。
このように当時、消化不足だったミッドセンチュリーコンセプトを現代のセンスと塗材を用いて再構成してみました。
皆様の目にはどの様に映るでしょうか。
mt管スーパーならではの受信性能を有する本機ですが、受信はお住いの環境に左右される部分です。
この手の品物をお求めの方には、言うまでもないことですが、最低数メートルのリード線をアンテナに繋ぐことは必須です。
キャパシティアンテナ装備ですので、アンテナ線をコンセントのアースターミナルに繋ぐのも効果的です。
色々工夫してお楽しみください。