YOKO ONO / APPROXIMATELY INFINITE UNIVERSE (1973年作品)



【女性アーティストたちの見本であり続ける、フェミニストとしてパワフルな意思表示した作品。】

『無限の大宇宙』のコアに宿る激情は、過去に録音された作品には明らかでなかったものである。それまでも苦しみや悲しみをアートに昇華させてきたが、ここでは彼女の他の作品群の中でも異彩を放つ、拳を握り締めたような激しさが存在する。ヨーコは怒っているのだ。男女の関係に対して、戦争に対して、パートナーに対して・・・。一方でサウンド的な面では、1971年の『フライ』でアプローチした一心不乱のロックンロール・サウンドをさらにレベルアップさせている。ニューヨークのバンド、エレファンツ・メモリーのメンバーをバックに従え、ジョン・レノン(ジョエル・ノーン[Joel Nohnn]とクレジットされている)が一部ギターで参加しているこのアルバムは、彼女の壮大なカタログの中でも“最も伝統的なロックに近い音”といえる。『無限の大宇宙』はソングライター／コンセプチュアリストとしての進化においても、非常に男性優位な70年代半ばのメインストリーム・ロックというゲットーの中で彼女がフェミニストとしての役割を確立したという意味においても、進歩的な作品といえる。1973年当時の音楽業界がウッドストック後に急速に拡大していた時期、A&Rの面々、ラジオのプログラミング担当、マーケティングの役員たち、ブッキング・エージェントetc. ビジネスを男性たちが牛耳る中、ヨーコの参入は彼ら全員にとってまったくのクエスチョン・マークだったのだ。間違いなく、音楽業界というボーイズ・クラブを驚かせ、脅かす存在になっていった。『無限の大宇宙』はその後何年にもわたって続いた、パワフルな女性アーティストたちの見本であり続けている。このフェミニストとしてパワフルな意思表示したアルバムといえる。（海外Press Releaseより）

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