絶版希少本 日本のデザイン 鐔の美 目の眼ハンドブック 鍔の美 古鐔 鉄鐔 透し鐔 透かし鐔
加島進、林盈六、松永広吉 著
里文出版
平成12年新装改訂版
246ページ
ソフトカバー
巻頭口絵写真カラー(4ページ) 本文モノクロ
※絶版
310点の実物大写真で鐔を紹介。
数々の秘められた歴史と時の流れを、一枚の鐔が我々に語りかけてくる。
総数350枚超の鐔にみる日本固有のデザインと味わい。
初心者から愛好家まで気軽に楽しめる鐔の決定版。
地域別、時代別、鐔工、など種類別にその代表的な銘品の実物大写真を掲載し、
図案(図案が持つ意味など)や技法、見どころなど解説を付したもの。
論考テキストとあわせて大変有用な鐔の美に特化した鐔図録/鐔図鑑。
【著者について】
加島進
1923年大阪府生まれ。元東京国立博物館刀剣室長
林盈六
1926年千葉県生まれ。愛刀家。(財)日本相撲協会医師
松永広吉
1947年東京生まれ。愛鐔家。松永木材会社社長
【はじめに 加島進】
鐔や小道具は、欧米においても、美術館や博物館をはじめ、個人のコレクションとしても鑑賞の対象とされており、世界的な工芸品といえる。
鐔は拵えの一つとして時代とともに発達したが、これが作られた時代の文化や、人々の好みと云うものを伝えてくれる。
私と鐔との出あいは、かつて勤務していた東京国立博物館で私の師である佐藤寒山先生の助手として昭和二十六年の「肥後金工展」が開かれた時である。それまで鐔には全く無縁であった私はこれによってすっかり鐔好きになり、その後「日本の鐔」「鐔の美」という本を出すほどまでになった。また共著者の林、松永の両氏は、永年、鐔の蒐集や研究をつづけられており、私とは違った立場で貴重な体験を積まれている。
このたび、これから鐔を愛し、集めようとする方々のためにそれぞれの豊富な経験を盛りこみ、我々三人でこの書をまとめてみた。恐らく読者は、ほんものの鐔の美を発見する眼をこの書物から学びとられることと思う。
【目次】より
はじめに 加島進
1 時代の変遷と鐔のデザイン 林盈六
世界に誇る鐔の誕生
刀姿の変化と鐔の変遷
幕末から現代まで
2 地域別にみる鐔の風情 松永廣吉
江戸期以前の鐔
地域別にみる鐔
出羽/庄内/会津/常陸/武蔵/越前/尾張/山城/丹後/紀伊/因州・備前・出雲/長門/伊予、阿波、土佐/肥前、薩摩
3 刀匠鐔の味わい 林盈六
素朴・質実がとりえ
武芸者の選ぶ鐔
4 鐔の主な種類と見どころ 加島進
鐔の主な種類
はじめに/室町・桃山時代の鐔/透し鐔/金家と信家の二つの世界/桃山時代を彩る京の埋忠、正阿弥、平田の三家/後藤家/江戸初期の鐔/赤坂鐔/江戸中期の鐔
/宗珉とその一門/奈良三作/京都の金工/大月派の人々/地方の金工/江戸末期の鐔/
時代による見どころ
室町時代末期から桃山時代/江戸初期/江戸中期・後期
/江戸末期
5 鐔の楽しみ方 松永廣吉・林盈六
図柄による楽しみ方
デザイン活用の面白さ
付 鐔の各部名称
付 鐔の形
付 用語解説
付 鐔の参考資料
あとがき 林盈六
【凡例】
1図より310図までは原寸、
311図以降は縮少になっている。
【掲載作品一部紹介】
時代の変遷と鐔のデザイン より
古甲冑師鐔 輪宝の図 南北朝末~室町初期
輪宝は印度仏教で宇宙を統一支配する王の宝器。この宝器は山野を前進し、行くとしてならざるはなしという力を持っているという。
刀匠鐔 桜花の図 室町初期
甲冑師鐔 くくり猿の図 室町中期
甲冑師鐔 繭づくし 室町初期 ほか
薄手の鉄地に耳は土手耳。繭は全身を自己の糸でカバーしている。防御の意を寓したもの。
山伏鐔 数珠の図 室町末期
応仁鐔 唐草・紋づくしの図 室町中期
鎌倉鐔 丁字・巴の図 室町中期
金山鐔 鳥居と草 室町末期
尾張鐔 八幡大菩薩の図 江戸初期
埋忠鐔 草木の図 桃山時代
金家鐔 雲隠れの月 江戸初期
信家鐔 朝顔の図 江戸中期
古埋忠鐔 花筏の図 桃山時代
柳生鐔 波の図 江戸初期
早乙女鐔 菊花の図 桃山時代
古正阿弥鐔 定規の図 室町末期
京正阿弥鐔 万年青の図 江戸初期
京透し鐔 松皮菱と若芽の図 江戸初期
越前赤尾鐔 菊花の図 江戸中期
雲州鐔 木賊の図 江戸中期
伊予正阿弥鐔 菊花の図 江戸中期
若芝鐔 山水楼閣の図 江戸中期
肥後西垣鐔 松樹・鶴の図 江戸中期
肥後甚五鐔 月下兎の図 江戸中期
肥後林鐔 二枚貝の図 江戸末期
東竜斎鐔 本来無一物の図 幕末
長崎鐔 茶釜の図 江戸末期
南蛮鐔 竜とローマ字の図 江戸末期
赤坂鐔 時雨亭の図 江戸中期
赤坂鐔 月と北斗七星の図 江戸中期
伊藤鐔 茶室の図 江戸中期
長州鐔 蜘蛛の図 江戸末期
佐倉鐔 勝虫の図 江戸末期
金工鐔 梅花の図 江戸末期
明珍鐔 弓矢八幡の図 幕末
ほか
地域別にみる鐔の風情 より
甲冑師鐔 遠見松の図 室町中期
甲冑師鐔 ほら貝の図 江戸初期
刀匠鐔 向かい蝶の図 室町末期
刀匠鐔 軍配の図 江戸初期
太刀金具師鐔 うずまき文の図 室町末期
鏡師鐔 天女と牛の図 桃山時代
応仁鐔 無紋の図 室町中期
平安城象嵌鐔 輪宝の図 桃山時代
与四郎鐔 御紋透しに唐草の図 江戸中期
古正阿弥鐔 わらびの図 桃山時代
秋田正阿弥鐔 丸竹の図 江戸中期
庄内羽黒山鐔 数珠の図 江戸初期
庄内安親鐔 銘安親 農夫帰宅の図 江戸中期
庄内鷲田鐔 亀甲文の図 江戸後期
庄内正阿弥鐔 銘正阿弥又治郎 汐くみの図 江戸中期
庄内在哉鐔 波千鳥の図 江戸中期
庄内光親鐔 月下猪の図 江戸末期
常陸早乙女鐔 大士の字打ち込みの図 江戸初期
会津鐔 月下独狼の図 江戸中期
水戸金工鐔 三國志の図 江戸末期
水戸金工鐔 龍の図 江戸末期
赤坂鐔 梅枝の図 江戸初期
赤坂鐔 無銘初代 竹の図 江戸中期
赤坂鐔 無銘二代 芦雁図 江戸中期
赤坂鐔 無銘三代 巴と桐の図 江戸中期
赤坂鐔 銘赤坂忠時作 近江八景の図 江戸末期
伊藤鐔 竹の図 江戸中期
江府井戸鐔 桜花の図 江戸末期
江府鐔 雨龍の図 江戸末期
江戸国広鐔 卍の図
明珍鐔 杢目の図 江戸末期
越前記内鐔 おもだかの図 江戸初期
越前明珍鐔 枝菊の図 江戸中期
越前赤尾鐔 軍配の図 江戸中期
越前正阿弥鐔 輪法の図 江戸中期
尾張鐔 車透かしの図 室町末期
尾張鐔 分銅に雁の図 桃山時代
尾張鐔 秋草の図 室町末期
尾張鐔 菊花の図 江戸初期
尾張鐔 鶴丸の図 江戸中期
金山鐔 水月の図 桃山時代
尾張信家鐔 波の図 桃山時代
信家鐔 わらびの図 江戸中期
山吉鐔 阿弥陀鑢に小透しの図 江戸中期
柳生鐔 車透しの図 江戸中期
尾張則亮鐔 小透しの図 江戸末期
金家鐔 雁の図 江戸中期
埋忠鐔 網代模様の図 江戸初期
埋忠鐔 満月に波の図 江戸初期
金定鐔 梅下唐人の図 江戸中期
埋忠鐔 山水の図 江戸中期
京正阿弥鐔 火縄銃の図 江戸中期
京正阿弥鐔 糸巻の図 江戸中期
京透し鐔 鶴丸の図 江戸中期
京透鐔 くじゃくの図 江戸中期
一乗鐔 白鷺と水すましの図 幕末
中川一匠鐔 明鳥の図 幕末
今井永武鐔 雉子の図 幕末
佐藤義照鐔 雨中猛虎の図 幕末
鉄元堂 万歳楽の図 江戸末期
丹州定正鐔 五輪塔の図 江戸中期
紀州貞命鐔 菊形大透かしの図 江戸中期
因州駿河鐔 帆立貝の図 江戸中期
因州駿河鐔 刀の中心の図 江戸
雲州春日鐔 鳳凰の図 江戸中期
佐渡鐔 錠前の図 江戸中期
古萩鐔 木瓜と菊の図 桃山時代
長州鐔 菊花の図 江戸中期
伊予正阿弥鐔 富士山の図 江戸中期
伊予正阿弥鐔 波に橋桁の図 江戸中期
土佐明珍鐔 勝虫とカマキリの図 江戸末期
肥前若芝鐔 葡萄に栗鼠の図 江戸末期
肥前矢上鐔 花籠の図 江戸末期
平戸鐔 双龍の図 江戸中期
南蛮鐔 龍の図 江戸中期
肥後鐔 林派 瓢箪透しの図 江戸初期
肥後鐔 神吉派 八ツ橋の図 江戸末期
肥後鐔 平田彦三派 波紋の図 江戸初期
肥後鐔 西垣勘四郎派 波紋の図 江戸中期
肥後鐔 西垣派 巣籠りの図 江戸中期
肥後鐔 西垣派 ニ引きの図 江戸中期
肥後鐔 志水派 蟹の図 江戸初期
薩摩鐔 砂もぐり龍の図 江戸末期
ほか
刀匠鐔の味わい
武州鐔 舵と櫓透かしの図 江戸中期
麒麟の図 銘継秀
鶴の図 銘継平
松皮菱の図 銘是一
桐の図 銘荘司弥門直勝
阿弥陀やすりの図 銘直光
八光の図 銘藤原兼久
ほか
鐔の主な種類と見どころ
加賀正阿弥鐔 虫づくしの図 江戸中期
一念阿弥陀仏文字透し鐔 甲冑師作
小透し鐔 刀匠作
ほか