大型図録本 古九谷焼 作品集 写真集 解説 日本陶磁全集 カラー86点114図 色絵古九谷 青手古九谷 裏銘
中央公論社
1976年
84ページ
34×27×12cm
函入 ハードカバー
作品図版フルカラー 解説参考図版モノクロ
※絶版
フルカラー大型図録本、古九谷焼 図鑑。函入大型愛蔵版。
江戸時代初期から中期(17世紀中期~18世紀初期)を中心に、
古九谷の名品86点、114図を収録。全作品の詳細な説明、ほかテキストも充実の一冊。
重厚な色彩と大胆な構図。色絵磁器の王者で、今日なおその出生については謎を秘める古九谷の一巻。
本巻では古九谷の平鉢、深鉢、手鉢、青手、銚子、徳利、中皿、小皿、台鉢などの豪放華麗なる美をフルカラー写真で紹介。
重要文化財、重要美術品など厳選された国内最高峰の優品を網羅して収録。
主要な作品には、見込みのほか側面、裏面・裏銘の部分写真もあわせて掲載。
収録作品の配列は、器形別にあらゆる作品を網羅し、作風の展開のさまがわかるように掲載、
フルカラー写真に加えて、巻末には全作品の寸法、全作品の解説。
作品名については、全作品に英文表記あり。
美術館・博物館所蔵などの銘品から、
めったにお目にかかることのできない個人蔵の銘品優品を多数カラーで写真解説したもの。
斯界の研究第一人者による解説論考テキストは、陶片や参考作品の写真を多数もちいてその器形や編年様式論、吉田屋窯について、配窯とその時期についてなどをていねいに考察。
また「古九谷装飾編年様式」一覧表は代表的な古九谷の前期・中期・後期および色絵作品・青手作品・素地を写真で整理分類。
巻末のやきもの風土記は、古九谷廃絶をテーマとした古九谷窯址訪問記。
九谷焼の作家であり研究家でもある北出不二雄氏との対話など、こちらも楽しく内容充実の読み物。
本書は大型本のため、各作品の写真も大きく、細部まで見て楽しむことができる、
陶芸家、茶道具、古陶磁、やきものの絵付け、デザイン、骨董品愛好家等に必携の大変貴重な資料本です。
【目次】
作品 カラー写真図版
概説 豪放華麗な色絵 嶋崎丞
九谷古窯の出土品、出土陶片、窯趾写真、文様の比較写真(初期京焼・九谷古窯出土破片)
古九谷の器形と色絵様式、古九谷の編年様式試論、吉田屋、など古九谷復興について
古九谷装飾編年様式(前記・中期・後期)分類表 色絵作品・青手作品・素地
作品解説
やきもの風土記 古九谷廃絶 角田守男
参考文献
作品目録
英文
英文目録
English Overview
English Catalog,List of Plates
【凡例】
本巻には江戸時代初期から中期(17世紀中期~18世紀初期)を中心に、古九谷の作品86点、114図を収録した。作品と図版の数え方は、原則として同一作品で異なる角度から見た図版のある場合、とれを一点二図ないし三図とし、一括して名称を付した。
収録作品の配列は、あらゆる器形を網羅して様式的編年を行い、作風の展開のさまがわかるようにした。
作品には、原則として図版番号、名称、寸法を付し、英文による名称を添えた。名称の読み方は作品解説においてふりがなをつけた。所蔵については、公共あるいは私設の博物館、美術館等に属するものは記載し、個人の場合はこれを省略した。
難解と思われる語、術語には、語の下に*をつけ、上欄に注を載せた。
巻末には英文による梗概、および図版目録を併載した。
【作品解説】一部紹介 寸法、所蔵先掲載
色絵孔雀図平鉢
鉢面一杯に尾羽を拡げた孔雀を、紫釉で象徴的に描いている。菊花と霊芝雲、襲面の梅蔓唐草、これらはともども和様の意匠であるが、それらを呉須赤絵風のくだけた筆致で描き、五彩の絵具を厚く盛り上げるように着彩している。葦の葉と孔雀は赤を用いているが、その筆致は実に見事である。襲面には、唐子とその頭部が二つ落書されており、筆者の楽しげな様子が思い浮ばれるようで興味がつきない。銘は、他の作品には見られない判読不明の文字が赤で記されている。不純物を含んだ茶色がかった黄、赤の色は第一号窯物原から出た色絵陶磁片の赤と通ずるものがあり、また焼成技術の未熟なところから、古九谷色絵では最も初期に属するものと思われる。この作品の所蔵者本善寺には、「寛永十八年後藤才次郎定次」・銘の梵鐘があり、この作品も古くから本寺に伝世されるところから、あるいは後藤才次郎が関係した作品かとも思われる。
色絵竹虎図平鉢 色絵海老図平鉢
ともに初期初期伊万里の染付皿にみられる意匠で李朝風であるが、これを描いた陶工はそれを基本にしながらも、古九谷独特の豪放な意匠様式に上手にまとめ上げている。
色絵蓮池翡翠図平鉢
五彩で彩られた色彩感が実に見事で、葉や流水に動きが感じられ、一幅の日本画をみるような趣がある。古九谷色絵のなかでは傑出した作例の一つである。裏面には水仙の花と茎を熨斗形にした、一種京風の文様が描かれている。表裏とも色絵具が全般に濁っており、古九谷初期の作品であることがわかる。
色絵網干蓮弁文深鉢
見込の網子の図は。初期伊万里染付にもみられ、当時、よほど好まれた意匠なのであろう。周囲は八枚の蓮弁でつなぎ、蓮弁のなかに各々丸紋を置いて、黄・緑・紫で塗り埋めている。中国の芙蓉手平鉢の和様化された意匠とみるべきで、裏面には葉文二葉を豪快に描き、これを赤線でつないでいる。高台径が直径に比して小さく、前期の作品であることが知られる。
ほか
【執筆者紹介】
嶋崎丞(しまざき・すすむ)
一九三二年(昭和七年)石川県に生れる。立教大学文学部を経て、九州大学大学院文学研究科卒。現在、石川県美術館副館長。金沢大学、金沢美術工芸大学講師。石川県指定無形文化財九谷焼技術保存会監事。東洋陶磁学会員。
著書『北陸地方の陶磁』(雄山閣)、「日本のやきもの18 九谷」(講談社)ほか。
監修 谷川徹三
編集委員佐藤雅彦
坪井清足
楢崎彰一
林屋晴三
編者 嶋崎丞
【はじめに】より一部紹介
重厚な色彩と大胆な構図、日本の色絵磁器の王者とまでうたわれ、世界的にも広く知られている古九谷-この古九谷が、加賀国江沼郡九谷村(現在の石川県江沼郡山中町九谷)で、加賀前田家の支署である大聖寺の藩窯として、江戸時代前期から中期頃にかけて焼かれたものであるということは、やきもの愛好家ならばそのほとんどの人が知っている事実である。しかしこの古九谷が、いつ始められ、誰の手によって具体的にどのような方法で焼かれ、いつ頃最盛期を迎え、そしていつ頃まで焼かれていたかということになると、明治以来、多くの先学の研究があるにもかかわらず、推論の域に留って明確な結論が今日なお出ていないというのが実状であろう。しかも昭和三十年代から始まった肥前磁器古窯址の本格的な発掘作業に伴って、古九谷伝世品の名品として知られている何点かの平鉢の裏面の染付文様に極めて類似した陶磁片や、また藍古九谷(古九谷の染付)として伝世されている中皿や小皿の文様とまったく等しい染付破片が発掘されるにおよんで、北原大輔氏に発した古九谷・古伊万里論が次第に白熱化し、最近では伝世色絵古九谷のほとんどが、初期色絵伊万里であるという説まで出るにおよんでいる。
こうした古九谷抹殺論が次第に台頭し始めた昭和四十年代に入って、ちょうど石川県では大聖寺川治水総合計画のもとに、九谷にダムを建設する計画が発表された。これが実施されると九谷古窯は水没してしまうので、この際徹底した調査をする必要が生じ、その発掘調査が石川県における古窯址研究の一環として加えられることになった。しかも伊万里説が台頭したこともあって、この発掘結果には各方面から多大の関心が寄せられたのである。この結果についてはのちに詳しく述べるが、現状ではまったく意見が二つに分れている。一つは。古九谷はこの九谷の地で焼かれたことが実証されたという見解であり、他は、この発掘によって、古九谷は有田で焼かれたことが確実になったとする見解である。窯址の考古学的な発掘調査によって究明されたはずの極めて学術的な結論が、どうしてこのようにまったく相反する所見となって現れるかについてものちほど述べるとおりであるが、古九谷というやきものは、それほど多くの難問をかかえているというのが嘘かくしのない事実なのである。
しかし明治以来、多くの古九谷研究者が述べているように、古九谷には、肥前の色絵のやきものにはみられない古九谷様式ともいうべき色絵の特色が存在することも確かであり、以下先学の研究を参考にし、最近の発掘調査の結果をもふまえて。私なりに思うところを述べてみたい。
古九谷の文献・資料と開窯年代
古九谷開窯についての拠るべき根本資料は、次の三文献に限られている。しかもこれらの資料は、古九谷についての解説記述が極めて短いこと、また書かれた年代が、古九谷廃窯の時期と想定されている元禄初年頃より相当年数を経ていることなどから。読み手の側がおのずと推測にたよることを余儀なくされ、臆測が臆測を呼んでいろいろな伝承が生れ、問題を複雑にしているといえる。いずれにせよ、この資料以降の各年代における古九谷研究家は、現代も含めて、大なり小なりこの三文献を引用して自説をたてているのが実状であってみれば、必ず目を通す必要があり、まずそれを紹介しておこう。(以下略)
【作品目録】より一部紹介 寸法・所蔵先掲載 重要文化財、重要美術品等指定記載
色絵孔雀図平鉢
口径32.7cm 本善寺
色絵竹虎図平鉢
口径33.5cm 以下寸法略
色絵海老図平鉢 石川県美術館
色絵蓮池翡翠図平鉢 日本民芸館
色絵網干蓮弁文深鉢
色絵老樹鷹白雲図平鉢 石川県美術館
色絵松竹文平鉢
色絵泊舟図深鉢 石川県指定文化財
青手樹木図平鉢
色絵唐子山水図平鉢 石川県美術館
色絵畦道文角皿 重要美術品
色絵瓜文平鉢
色絵牡丹文平鉢 石川県美術館
色絵四葉座十字文平鉢 石川県美術館
色絵布袋図平鉢 石川県美術館
色絵竹叭々鳥図平鉢 重要文化財 東京国立博物館
色絵鶴かるた文平鉢 石川県指定文化財 石川県美術館
色絵瓜台鉢図平鉢 出光美術館
色絵翁草花図平鉢 石川県指定文化財 石川県美術館
色絵牡丹蝶文平鉢 東京国立博物館
色絵山水図平鉢
色絵花鳥図平鉢
色絵牡丹蝶文捻平鉢
色絵桃樹双鳥図平鉢 重要美術品
色絵酒宴図平鉢 重要美術品 箱根美術館
色絵花鳥図輪花台鉢 石川県美術館
色絵菊流水亀甲繋文平鉢
色絵翡翠図平鉢
色絵蓮華翡翠図輪花平鉢
色絵蝶牡丹亀甲繋文平鉢 重要文化財 梅沢記念館
色絵鳳凰図平鉢
色絵水浴図輪花台鉢 重要美術品
色絵割文色紙山水図平鉢
色絵色紙瓢箪散花鳥図平鉢
色絵壺割山水飛鳥図平鉢 石川県美術館
色絵鳳凰文芙蓉手平鉢
色絵草花文芙蓉手深鉢 遠山記念館
色絵百花白鷺図深鉢
色絵百花橋人物図深鉢
色絵百花双鳥図深鉢 石川県美術館
青手兎渡海図平鉢
色絵幾何文平鉢
色絵幾何文平鉢
色絵石畳双鳳文平鉢 石川県美術館
色絵釣人物図木瓜形平鉢
色絵牡丹菖蒲菊図平鉢
色絵亀甲文壺
色絵唐子遊図九角平鉢
色絵崖上唐人物図九角平鉢 箱根美術館
色絵丸紋繋山水図平鉢 重要美術品 金沢市立中村記念美術館
色絵丸紋繋山水舟人物図鉦鉢 東京国立博物館
色絵花鳥図手鉢 重要美術品
色絵色紙花鳥図手鉢
色絵獅子牡丹図銚子 重要文化財 永青文庫
色絵花鳥図銚子 東京国立博物館
色絵草花文瓢形徳利 東京国立博物館
色絵草花文瓢形徳利
色絵桜川文瓢形徳利 金沢市立中村記念美術館
色絵牡丹獅子文瓢形徳利
青手松樹図平鉢
青手茄子図平鉢
青手瓜文平鉢
青手桜花散更紗文平鉢 石川県美術館
青手扇面流文平鉢
青手団扇散文平鉢
青手七夕文平鉢
青手牡丹菖蒲図輪花平鉢 東京国立博物館
青手栗波文平鉢 石川県美術館
青手竹図平鉢 石川県美術館
青手双蝶文台鉢
青手石畳文平鉢
青手双魚文平鉢
色絵石畳鳳凰文隅切中皿
色絵牡丹双鳥図隅切中皿
色絵小禽図隅切中皿 石川県立工業高校
色絵花鳥図輪花中皿
色絵鴛鴦図輪花中皿
色絵天女図輪花中皿
色絵菊水図分胴形小皿 石川県美術館
色絵竹虎図相生形小皿 石川県美術館
色絵梅鶯図長方小皿
色絵荒磯文小皿 石川県美術館
色絵牡丹図輪花小皿
青手粟図長方中皿
青手竹虎図角中皿
青手栗波文小皿 石川県美術館
NIPPON TOJI ZENSHU 26
A Pageant of Japanese Ceramics
KUTANI WARE , KO-KUTANI WARE
by Susumu Shimazaki
Kutani ware is famous for its dark coloured enamelling.It is said to have been produced at kilns in Kutani village of the Daishoji fief,now in Yamanaka-cho,Ishikawa prefesture,during the seventeenth century.…The rest is omitted
LIST OF PLATES
Dish with peacock design,enamelled ware.
Mouth D.32.7cm Honzen-ji Temple
Dish with tiger and bamboo design,enamelled ware.
Mouth D.33.5cm
…The rest is omitted