全6巻 各巻平均176頁 A4判 上製:本体67,980円
☆・1.博物館、資料館、図書館などの公的機関所蔵写真の他、
アイヌ関係者の写真を中心に収録しており、内部の血の通った写真を見ることができる。
2.ほとんどの写真がこれまで目にすることのなかったもの。
写真には出来るだけ説明を加え、あまり馴染みのない風景、光景を理解しやすいよう、工夫した。
3.全6巻それぞれに7~10の章を立てることにより、テーマのポイントをしぼり、読みやすくかつ理解しやすい工夫をこらした。
☆・第1巻
『祭礼/神々との交流』
編集:萱野茂
アイヌ民族の自然環境と調和する生き方の表れとして、動物や植物背後にカムイ(神)を見る、様々なお祭りがある。
☆・第2巻
『民具/生き続ける伝統』
編集:秋辺得平
限られた道具を使って、アイヌの人々は精巧な日用品から、丸木舟(チプ)、力学にかなった丈夫な家(チセ)をつくる。
☆・第3巻
『文様/躍動する図柄』
編集:知里むつみ
独特のアイヌの文様には、いろいろな意味が込められています。
そこにはまた、彼等の美意識が見事に表れている。
☆・第4巻
『伝承/文芸・芸能・遊び』
編集:横山孝雄
語り継がれたアイヌ民族の叙情詩・ユカラにはアイヌの大地(モシリ)や英雄たちを讃える詩が美しく残されている。
☆・第5巻
『芸術/甦る精霊たち』
編集:知里むつみ
アイヌの人々は彫り物や刺繍にすぐれた才能を発揮している。現在活躍中の人々の作品を数多く収録した。
☆・第6巻
『歴史/差別・抑圧と誇り』
編集:横山孝雄
アイヌの歴史は、和人の侵略抑圧の歴史であった。なぜ「ァイヌ民族のための法律」が必要かを理解する為には不可欠の巻。
☆・[監修者のことば]
萱野 茂 (シシリムカ 二風谷アイヌ記念館館長)
この「アイヌ民族写真・絵画集成」は、時機を得た企画で、序文など全く必要のないほどいい本だと私は考えます。
かつて二風谷(にぶたに)で行われたイヨマンテや、今も続いているチプサンケ、歴史に残る貝澤さんの
貴重な葬式の様子も収録されています。
北海道内各地域に遺されていた門外不出の写真が掲載され、また、それらの写真かアイヌまたはアイヌに
最も近い方々の撮影と知り、大いに親しみを感じました。
そのようなことで、親近感が増したのと合わせて、これはアイヌ民族の内側からの報告書に値するものとうれしい限りです。
☆・推薦します。野村義―
(北海道ウタリ協会理事長)
アイヌ民族は古来その民族性の違いから好奇の目で見られてきた。
江戸時代なかばころから、絵師たちの関心をよび、さまざまに描かれてきたが、
同族として怒り心頭に発するような作品が少なくない。
明治に入ってから、写真師たちがウタリの周囲に出没するようになるが、彼らの写真も多くは同族を差別的に
写しとったものが多く許しがたい点が多い。
近年、アイヌの儀式などに群がるカメラマンが多いが、アイヌヘの敬意を欠いて告訴までされた者もいる。
そんななか、アイヌ自身が撮った写真、アイヌの尊厳を写した作品、アイヌ民族の芸術感覚を写し撮ったものなどを
集大成したこの「アイヌ民族写真・絵画集成」は、「先住民族の10年」か世界的に設年されるにあたって
、時機にかなった喜ばしい集成であると思う。
アイヌ民族の誇りが、随所に見てとれるのも、結構なことだ。