2014年ルツェルン音楽祭オープニング・コンサート映像
アバドの代役として登場したネルソンス
オール・ブラームスで挑む!
ブラームス:
・交響曲第2番
・アルト・ラプソディ
・セレナード第2番
サラ・ミンガルド(アルト)
バイエルン放送合唱団(男声)
ルツェルン祝祭管弦楽団
アンドリス・ネルソンス(指揮)
2014年8月15,16日
2014年はアバドが登場しない初めてのルツェルン音楽祭。
マーラーを継続的に取り上げていたアバドが2014年から取り組もうと考えていたのはブラームス。
アバドの逝去を受けて代役に立ったのはアンドリス・ネルソンス。
ネルソンスは、本映像に収録されているオープニング・コンサートと、8月23、24日に行われたポリーニとの計4公演に登場しました。
ネルソンスは近年集中的にブラームスの作品に取り組んでいたこともあり、まさにぴったりの人選となりました。
ネルソンスは今もっとも多忙を極める若手指揮者の一人で、この時期もバイロイト音楽祭で『ローエングリン』を、
プロムスでブリテンの『戦争レクィエム』を指揮するなど八面六臂の活躍を見せています。
オープニング・コンサートの演目は、オール・ブラームス。当初アバドが振る予定であった曲をそのまま引き継いでいます。
まずセレナード第2番から。
5つの楽章からなる作品で、編成がヴァイオリンを欠くヴィオラ、チェロ、コントラバスのみの弦楽合奏なので、
木管群と中低域の楽器の温和な響きが印象的。ネルソンスの優しい音楽性が良く作用した演奏となっています。
続くはアバドからの信頼が厚かったサラ・ミンガルドが歌う『アルト・ラプソディ』。アルトのソロ、男声合唱と管弦楽のために書かれた作品。
歌詞はゲーテの「冬のハルツへの旅」。クララ・シューマンの娘ユーリエの結婚が影響したと言われています。
ミンガルドの奥の深い声の響きがなんとも美しい演奏です。
そしてメインは、交響曲第2番。
ネルソンスはポリーニとショパン:ピアノ協奏曲第1番を演奏した23、24日に、後半プログラムとして交響曲第3番を振っていますが、
ネルソンスのブラームスは、深々とした重厚さと濃厚なロマンティシズムが、遅めのテンポで抒情的に雄弁に語りかけてきます。
またネルソンスの躍動的な指揮姿が圧倒的な高揚感を演出しています。
近年のネルソンスの好調ぶりを見せつけるコンサートとなりました。(キングインターナショナル)