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自宅保管の品です。中身は大変美品ですが古いものですので、表紙や帯など若干の経年変化はございます。ご理解頂ける方にご検討をお願い申し上げます。
美輪明宏と「ヨイトマケの唄」 天才たちはいかにして出会ったのか 佐藤剛
「自分以外の人によって、己れの人生を克明に調べ上げ語られると、そこには又、異なる人物像が現出する。歴史に残る天才達によって彩色された果報な私の人生絵巻が、愛満載に描かれていて、今更ながら有難さが身に沁みる」――美輪明宏
三島由紀夫、中村八大、寺山修司……
時代を彩った多くの才能との邂逅、
稀代の表現者となった美輪明宏の歌と音楽に迫る、傑作ノンフィクション!
〈目次〉
第1章 異端にして革命児
「シスターボーイ」と呼ばれて/“天上界の美"と語った三島由紀夫/特異なケースで楽壇に躍り出た問題児……
第2章 長崎の臣吾少年から丸山明宏へ
革新的だった「メケ・メケ」の日本語詞/軍国主義への嫌悪/シャンソン歌手を夢見て上京/女言葉で話すようにしつけられた幼年期……
第3章 三島由紀夫に見出された若き才能
導きを受けていた野坂昭如/「君も体をきたえなければいけないな」/小説『永すぎた春』の映画化……
第4章 シャンソン喫茶「銀巴里」とともに
橘かほると出会って開かれた道/筑豊地方の炭鉱町での体験/若き映画スター赤木圭一郎の死/「愛の讃歌」が歌えるようになってから死ねばいい……
第5章 中村八大という音楽家
音楽を学ぶために日本へ留学した天才少年/早稲田大学の良き先輩、渡辺晋/永六輔との「六・八コンビ」が誕生/無名の新人を育てる名プロデューサー……
第6章 日本初のシンガー・ソングライター誕生
NHKの音楽バラエティ番組「夢であいましょう」/世界に通用する日本の音楽/六年ぶりに再会した二人……
第7章 “ほんとうの日本の歌"を作る
戦争体験と「ふるさとの空の下に」/一九六三年から始まった挑戦/胸をなでおろして安堵した二人/三島由紀夫との創作による芸術……
第8章 伝説の番組「夢であいましょう」
「こんにちは赤ちゃん」の誕生/テレビというメディアの力/西洋のモダニズムと日本の土着性……
第9章 「ヨイトマケの唄」の衝撃
あこがれの地、ブラジル/ボサノヴァとジャズが邂逅した夜/アメリカ人俳優による『薔薇と海賊』/第二の丸山明宏ブーム……
第10章 寺山修司との出会いから演劇の道へ
青森の訛りという生の声/空遠く眸に浮ぶ母の顔/「本歌取り」と「コラージュ」……
第11章 60年代の砦・アートシアター新宿文化
「これからはそういう時代が来る」/極秘裏に上映された映画『憂国』/日本人の「エロス」と「死」/代表作となる『毛皮のマリー』……
第12章 「ブラジル組曲」で始まったリサイタル
すべては天才歌手――丸山明宏のために/「生きている音楽の為に奉仕せよ」/遺品に残されていた録音テープ……
第13章 映画『黒蜥蜴』と「黒蜥蜴の唄」
歌舞伎の手法とデカダンス/白羽の矢が立った深作欣二監督/見えない太陽のような存在……
第14章 別離の季節となった一九七〇年
映画『黒薔薇の館』の誤算/野坂昭如、寺山修司との対談/周到に準備されていた「別れ」……
第15章 復活する「ヨイトマケの唄」
「花子とアン」で使われた「愛の讃歌」/幻のアルバム『丸山明宏リサイタル』……
第16章 二一世紀へと歌い継いだ者たち
聴くともなく聞いた歌/心の奥にしまい込まれた歌の記憶/歌でつながる不思議な縁/「イムジン河」の純粋さと反骨精神/中村八大の後継者だった加藤和彦/……
エピローグ
丸山明宏から美輪明宏へ/海外が発見した『黒蜥蜴』と「黒蜥蜴の唄」
佐藤剛〜1977年よりシンコー・ミュージックにて甲斐バンドを担当。後にプロデューサーとして独立し、THE BOOM、ヒートウェイヴ、中村一義、由紀さおり、マルシア等、多数のアーティストの楽曲やライブ、イベントをプロデュースする。2015年よりNPO法人ミュージックソムリエ協会の会長に就任
レビューより
丸山明弘時代の交流を通して、多くの有名人や文化人が登場します。三島由紀夫、中村八大、寺山修司、そして美輪明宏と、綺羅星のごとく、戦後の芸能界を作り上げた天才たちが勢ぞろいしています。その意味では「天才たちはいかにして出会ったのか」という副題の通りの展開でした。
当時は知らなかったエピソードも満載してあります。美輪明宏の人生の歩みを軸として、その交友録的な意味合いが強いわけですが、戦後の芸能界を知る上でも貴重な本だと思いました。
特に、三島由紀夫と丸山明弘との関わりでは、知らなかったことが多く、作家の実像にも迫った内容ではなかったでしょうか。三島由紀夫が市ヶ谷の駐屯地で自死する前にお別れがあったと書かれていました(345p)。
赤木圭一郎がゴーカートの事故で亡くなったのは当時衝撃のニュースとして記憶していましたが、赤木圭一郎と丸山明弘が付き合っていたということを知りませんでした。「トニー(赤木)は永久に私の中に生きているんですよ。(95p)」と黒柳徹子に答えていました。