MOSTLY CLASSIC モースリー・クラシック 2019.8 vol.267 特集 シューベルトとドイツ・リート(歌曲)/3大歌曲集/
表紙 シューベルトの友人たちが催し、シューベルトの作品が演奏された夜会、シューベルティアーデの風景特集 シューベルトとドイツ・リート(歌曲) “歌曲王”シューベルト(1797-1828)は、わずか31年の生涯で約1000曲もの作品を残し、その半数以上が歌曲(リート)といわれる。「野ばら」や「魔王」、「菩提樹」などは昔から日本人に親しまれてきた。 その中でも、「美しき水車小屋の娘」、「冬の旅」、「白鳥の歌」は3大歌曲集として今日まで歌いつがれてきた。「美しき水車小屋の娘」と「冬の旅」はウィルヘルム・ミュラーの詩に、「白鳥の歌」はレルシュターブ、ハイネ、ザイドルの詩に曲が付けられている。 ミュラーの「美しき水車小屋の娘」ができた経緯は、ベルリンの枢密顧問官シュテーゲマンのサロンで、「水車小屋に住む美しい娘と粉ひき職人の恋物語」という歌芝居が行われた。客たちは役割を分担し、ミュラーは粉ひき職人を演じ、数編の詩を作った。これを元にした詩集を発表、シューベルトは20編を選び作曲した。当時、ドイツの職人は技を磨くため遍歴の旅に出た。水車小屋の美しい娘を好きになるが、振られ、小川に身を投げる、という物語が展開する。 「冬の旅」は第1集12曲、第2集12曲からなる。第1集は「おやすみ」から始まり、「孤独」で終わる。第2集は「郵便馬車」から「辻音楽師」まで。美しい旋律にあふれているが、最初に聴かされた友人たちは「暗い気分に当惑」したという。「『冬の旅』はまさに最高の心理劇である。恋人の犬すら自分を追い払おうとする情景を、ピアノのトリルで見事に表現し、主人公の心の世界を映し出す」と西原稔・桐朋学園大教授は記す。「白鳥の歌」はシューベルトが亡くなる直前に作曲され、出版社ハスリンガーによってまとめられ、出版された。前半のレルシュターブの抒情的な詩による7曲と、後半のアイロニーを感じるハイネの詩による6曲は対照的な作品になっている。 多くの名歌手が、オペラだけでなく歌曲を歌ってきた。「多くのドイツ歌曲を歌う歌手が3大歌曲集に心ひかれるのは『弱い人間』の葛藤、懊悩に由来するのだろう」と音楽評論家の國土潤一氏。3大歌曲集を最も多く録音したディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ、ヘルマン・プライ、ペーター・シュライヤー、エルンスト・ヘフリガー、フリッツ・ヴンダーリヒらの名前をあげた。 現代のリート歌手は、クリスティアン・ゲルハーヘル、マティアス・ゲルネ、イアン・ポストリッジ、マーク・パドモアらが活躍。若手の注目株にはベンヤミン・アップル、クリスティーネ・カルクらがいる。 他に、◎シューマンのリート「詩人の恋」「リーダークライス」など◎ブラームスのリート「アルトのための2つの歌」など◎マーラーのリート「子供の魔法の角笛」など◎イタリア、フランス、イギリス、ロシアの歌曲◎作曲家を歌曲に向かわせた詩人たち◎歌手を引き立てる伴奏ピアニスト、などです。◎宮本文昭の気軽に話そう ゲスト ピアノ 深沢亮子 昨年、東京とウィーンでデビュー65周年リサイタルを開いた。長いキャリアを誇り、ウィーン仕込みの演奏を聴かせてくれる。ウィーン国立音楽大学に留学したのは高校2年のとき。バックハウスは東京で深沢の演奏を聴いていた。ウィーンに行ってすぐ、バックハウスのリサイタルがあり、楽屋を訪ねると、覚えていてくれて感動した、と話す。最近はアンサンブルでの演奏が増えた。10月にはヴァイオリンの中村静香とデュオ・リサイタル。12月には室内楽の夕べで、ドヴォルザークのピアノ五重奏曲などを演奏する。◎ステージ 駒井ゆり子 ソプラノ 駒井ゆり子はパリ・エコール・ノルマル音楽院に留学し帰国。フランス歌曲の第一人者として活動をしている。「フランスの芸術歌曲と呼べるのはフォーレ以降の新しい分野です・フランスの歌曲は文学や美術との関わりが大きいのです。一般にはドイツ・リートよりハードルが高いのです」と話す。フランス歌曲の裾野を広げる活動にも力を入れる。コンサートで解説を行うのはもちろん、イラストを描き、スライドを作るなどして聴衆の理解を促す。「私が面白いと思ったものを少しでも分かってほしい」と話す。このほか◎青島広志の新連載「押しもしないが押されてばかり」◎外山雄三の「オーケストラと暮らして60年」◎小山実稚恵の「ピアノと私」◎「鍵盤の血脈 井口基成」中丸美繪
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※当方、出品数の関係でIDがhironaho2004jp/floridaepcot2009/floridamcm/sachiandhiro2012で出品しております。双方ともによろしくお願いします。