1971年発売のスタジオモニター4310をベースに、同年コシュマー用にブラッシュアップされ発売されたのが本機「 JBL L100 センチュリー 」です。
初期生産の数百台ロットの L100 century に限り、名機4310と同じプロ仕様のオールアルニコユニットがマウントされています。
(これ以降は一部のユニットがフェライトにコストダウンされており、その音質変化に伴いユニットレイアウトも変更になりました)
ウーファーには123A-1、中域にLE5-3、高域にLE25-1を搭載、初期4310と全く同じくユニット構成となります。
アルニコを用いた3way構成としてはこの4310系が完成形と考えられており、高い次元でブレンドされた音像はまるでフルレンジの点音源に近い定位を見せます。
厳密には43XXシリーズはツイーター+スコーカー+帯域調整されたフルレンジウーファーという構成なので、音質的には2wayに近いかもしれません。故にサイズからは考えられない定位を実現します。
現在の最新鋭機と比べましても音像定位・音質共に全く引けを取らず、逆にボーカル域での厚く濃厚なリアリティーは現行品では追従できる製品はないと思います。
私はMacintosh C100a+MC2200やMC275で鳴らしておりましたが、L100 century の潜在能力は非常に高く、アンプの素性も試聴上はっきり聴き取れるほどピーキーです。
元々スタジオSPとして開発されたユニットだけに、機器の個性やソースのクオリティを音に反映できる懐の深さがあり、ポン置きではその真価は発揮しません。
裏を返せば、オーディオスキルをお持ちの方にとりましては、ある意味対峙しがいのある、マニア冥利に尽きるスピーカーなのではないかと思います。
ケーブル一本に対しての品質までシビアにコンタクトする為、セッティングには高度なオーディオスキルが必要になりますが、ご落札者様には長く本機とお付き合いいただき、その素晴らしい真価を十二分に引き出していただけたらと思います。
L100のメインデザインとなりますフロントグリル(スカルプチャード・カドレックスII)はミッドセンチュリー時代を象徴的するデザインです。
この一見オーディオスピーカーとは思えないグラフィカルなグリルのL100に憧れを抱かれるオーディオファン・JBLファンの方も多いのではないでしょうか。
(当時イームズやフランクロイドライトの家具を所有されている方のほとんどがこのL100を購入されていたという逸話もございます)
本機は当方が10年程前にカリフォルニアの業者様から輸入購入したものです。
それから数年間使用しておりましたが、本機が発売された1971年からノーメンテナンスだった為内部劣化が著しく、長期使用を考えましてビンテージJBL機のメンテナンス業者様としては最も丁寧なお仕事をされていると考えますROXX(ロックス)様に総合メンテナンスをお願いしました次第です。
末永く使用する為に高額な費用を掛けメンテナンスいただいたのですが、実は個人的な都合にて出品せざるを得ない状況となりました。
今回愛情持ってメンテナンスいただきましたROXX様には心から申し訳なく思い、この場をお借りましてお詫び申し上げます。
メンテナンス内容は以下の通りです。
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【修理・メンテナンス項目】
・メンテナンス完了日:2017年1月
・ネット木枠、ボックス素地調整、再仕上げペア
・正面バッフルブラック塗装ペア
・各SPユニット黒着色、ホワイトニング全6本
・ロジウムメッキSP端子交換ペア
・アッテネータ新品交換4箇所
・内部配線、コンデンサー交換
・全面ネット固定ホール、本体固定ダボ調整
・LE20全面プレート新品ペア
・各ユニットの再着磁・センター出し
・出音チェック
【上記メンテナンス費用】¥267,840-*料金はメンテナンス作業のみの金額です。
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これ以外に、スカルプチャードIIが硬化しており音質的に良くないと判断しまして、オレンジから掲載写真のブルーに交換いたしております。
このグリルはJBLパーツ専門店の 24seven-island より購入しております。
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こちらをご確認下さい。
また、ROXX様のHPには本機メンテナンス後の試聴動画が掲載されております。
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こちらをご確認下さい。
*webではグリルが赤になっておりますが、ブルーのグリルに交換いたしております。
*L100本体はロスアンゼルスから¥370,000で購入いたしておりますので、トータル約¥640,000の高額セットとなります。
カリフォルニアから輸入時はユニット・内部コンデンサー、エンクロジャー等各所経年劣化しておりましたが、それでもJBLらしい素晴らしい音を奏でており満足はしておりました。
しかし、ROXX様のお陰でメンテナンス前と比べ更にサウンドクオリティーがアップし、まるで発売当時のL100がタイムスリップしてきたと思えるほどのクオリティを取り戻しました。
メンテナンス前まではカラッとした軽目のサウンドでしたが、メンテナンス後は現行品JBL機が足元にも及ばない圧倒的なボーカル域のパワーと、良い意味での荒々しさがインスパイスされ、まさに圧巻のブックシェルフに生まれ変わりました。
メンテナンス完了後から現在まで、2日にアルバム1枚程度の再生程度の頻度でしたので、劣化は一切ございません。
巷ではROXX様以外にも多くの著名なメンテナンス業者様がおられますが、ネットワークの改造・完全3way化など本来の43XXシリーズの良さを打ち消すメンテナンスばかりです。
本機はネットワーク構成・基本構成を守りつつ、時間を掛けリメイクした結果でのクオリティアップであり、目指す方向は販売時の初期性能です。これがL100ユーザーの求める真のメンテナンスではないかと思います。
■仕様
・方式 3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型
・低域用:30cmコーン型(123A)
・中域用:13cmコーン型(LE5-3)
・高域用:4cm(LE25-1)
・ネットワーク:専用3ウェイネットワーク
・インピーダンス 8Ω
・許容入力 50W(連続プログラム)
・クロスオーバー周波数 1.5kHz、6kHz
・外形寸法 幅370×高さ600×奥行350mm
・重量 25kg
■各ユニット・外観
・全てのユニットには凹みはございません。ホワイトニングされたウーファー、染色し直されたスコーカー・ツイーターとても素晴らしい状態です。
・ツイーターの正面樹脂リングは新品に交換いただいております。
・アッテネーターも新品に交換されておりますので、当然ガリ等もございません。
・エンクロジャーは傷汚れございましたが研磨と再塗装でほとんど目立たない状態に仕上げていただいております。
・背面端子はロジウムメッキSP端子に交換され、極太のケーブルも難なく固定可能です。
・フロントグリル(スカルプチャード・カドレックスII)も新品交換済みで劣化も一切ございません。四方木枠も綺麗にメンテナンスされております。
・フロントグリルのJBLロゴプレートは着脱式になっており、これは製造時からのものをそのまま流用しております。SPを横置きに使う際は、ロゴプレートも横向きに変更可能になっております。
■今回発送は佐川急便、もしくはヤマト便となりまして、全国送料一律¥5,000 にて発送させていただきます。
・恐れ入りますが北海道・沖縄にお住まいの方は上記金額にプラス¥3,000 とさせて下さい。
・梱包は段ボール箱内に板補強などを必要といたしますので、恐れ入りますがご落札から発送まで中2日程いただきたくお願いいたします。
動作テストでは、McIntosh C100a + MC2200 CDP:Studer A730 を使用いたしましたが、一般的なSPではこのアクの強い個性の機器に抑え込まれ気味になるのですが、このL100はそれらの機器の味わいを損なうことなく、瑞々しく軽快でアグレッシブに音楽を奏でます。
巷でも言われるJAZZやROCKとの相性の良さですが、その先入感を払拭し聴き返しましても、やはりこのL100にはJAZZ・ROCKが似合います。そして最新SPとは違う燻銀とも言えるミッドレンジ中心のグルービー感は歴代のJBL製品でも4310とこのL100のみに与えられた特権です。
余談ではございますが、数年前に発売になりました L100 classic の実機を先日拝見・視聴し絶句いたしました。
エンクロジャー表面材は安価な人口木目突板を使用している為、本来の天然木突板の深い味わいはなく、フロントグリルはなぜか一般的なスポンジで、とてもフロントグリルに使用できる素材ではありません。
本来のスカルプチャード・カドレックスIIは気泡が広く通音性の良いものです。
貶すつもりはないのですが、L100 century のリスペクトであるならば、その意匠性や雰囲気まで再現して欲しかったと心から思った次第です。
総括しまして、これだけのクオリティーと希少性を維持した初代L100センチュリーは、オークションや中古ショップでもそう簡単にはお目に掛かれないと思います。
サウンドに趣の熱いJBLfan、そしてJAZZ・Rockfanの方に是非お聴きいただきたい逸品です。
熟成されたバーボンの如く、喉越しを熱くシビれさせ、音楽に熱く陶酔させてくれることと思います。
ご落札後は敏速にご対応いたします。最後までどうぞ宜しくお願い致します。
-cocokotamai
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