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宮城谷昌光の「香乱記」全4巻(新潮文庫)です。状態は、全般にかなり良好です。送料は、クリックポストで185円です。
★内容: 群雄割拠する秦末、故国・斉の独立を目指し、起き上がった田家の三兄弟。その末弟・田横は、項羽を退けた兵略、劉邦が欲した治国の才、諸葛孔明が讃えた気骨 ―知・仁・勇、すべてを兼ねそなえ、始皇帝死後の大動乱期、幾多の群雄のなかで最も光彩を放つ英傑となる。田横の波瀾の生涯と、“予言の七星”と呼ばれた家臣、乱世の群像を描く中国歴史巨編。
【第1巻】: 悪逆苛烈な始皇帝の圧政下、天下第一の人相見である許負は、斉王の末裔、田氏三兄弟を観て、いずれも王となると予言。末弟の田横には、七星を捜しあてよという言葉を残す。秦の中央集権下では、王は存在しえない。始皇帝の身に何かが起こるのか。田横は、県令と郡監の罠を逃れ、始皇帝の太子・扶蘇より厚遇を得るのだが……。
【第2巻】: 始皇帝は没した。宦官・趙高の奸策により公子扶蘇は自害。皇帝として末子胡亥が即位した。胡亥・趙高により苛政はより激しさを増した。九百の雑役夫を率いて辺境の守備に向かっていた陳勝と呉広が、悪天候による移動の遅れから、「遅参も死、逃散も死、どうせ死ぬのならば」と、蜂起した。反乱軍は瞬く間に万を超え、ついに戦乱の火ぶたは切られた。
【第3巻】: 秦の不敗の将軍、章邯に包囲された絶体絶命の魏王を救うべく、田たん率いる斉軍は、臨済へと向かった。秦軍は二十万、迎え撃つ魏斉連合軍は十万。田たんは、章邯の自在な用兵、精緻な機略の前に苦戦を強いられる。田横は義を以て楚に援兵を乞い、楚の勇将項梁は、項羽・劉邦・黥布らを率いて、章邯の大軍と激突する。楚漢戦争前夜、帝国秦の終焉を圧倒的迫力で描く。
【第4巻】: 無辜の民をも殲滅する残虐無比の項羽と、陰謀と変節の梟雄劉邦。中国の人口を半減させたといわれる楚漢戦争が勃発した。緒戦こそ劉邦は項羽に敗れたものの、劉邦の壮大な包囲網に項羽は追いつめられていく。人民にその高潔英邁を尊崇された不撓の人、田横の正義さえも、漢軍の奔流に呑まれていく。著者をして「理想像」と言わしめた不屈の英雄を描く傑作、完結編。
★著者インタビュー「香乱記を書き終えて」(2003/10/28毎日新聞夕刊): 【田横は僕の理想像】 斉王の子孫ではあるが、祖父の代に野に下り、従兄(いとこ)の田(でんたん)、兄の田栄(でんえい)とともに平穏に暮らしていた田横は、始皇帝崩御による歴史の大変動の中で、兄たちと共に「他国への不可侵」という理想を持った斉国の樹立を目指して立ち上がる。 剣の達人で、人を裏切らず、信念を通す田横は周囲の人間を引きつけてやまない。七星と言われる七人の異才が彼を慕って集まり、最後まで行動を共にすることになる。連載前に「田横は僕の理想像。反権力的でどんな相手にも屈しない」と宮城谷さんは語っていた。 「だれから見ても魅力があり、こんな人の下で働いてみたいと読者に思われるように書かないと小説として成立しない。それには書き手が田横に惚れていないとだめですが、僕は昔から田横を尊敬していた。そういう点で全く後ろめたさの無い小説でした」(中略) 「基本資料の『史記』は項羽と劉邦にすべての記述が向いているようにみえる。でもよく読むと、その流れに合わない人物がたくさん登場する。大きい歴史からは外れているので無視されることが多いけれど、丹念に読めば、そういう人たちの動きや生き方の方向が見えてくる。それをやらないと本当の意味で項羽と劉邦の時代はわからないと思いました」 田横を配すことで、項羽と劉邦の登場以前に秦朝打倒のために戦った人々の存在意義、戦いの意味が浮き彫りになった。(後略)
★著者、宮城谷昌光は、1945(昭和20)年、愛知県蒲群市に生まれる。早稲田大学文学部英文科卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事、創作をはじめる。その後、帰郷。長い空白を経て、1991年『天空の舟』で直木賞候補、新田次郎文学賞受賞。同年『夏姫春秋』で直木賞受賞。2000年に司馬遼太郎賞、2004年に菊池寛賞を受賞。作品としてほかに『王家の風日』、『侠骨記』、『孟夏の太陽』、『春の潮』、『花の歳月』、『重耳』(芸術選奨文部大臣賞)、『晏子』、『子産』(吉川英治文学賞)、『孟嘗君』、『介子推』、『沈黙の王』、『玉人』、『長城のかげ』、『楽毅』、『青雲はるかに』、『太公望』、『華栄の丘』、『奇貨居くべし』、『劉邦』(毎日芸術賞)などがある。
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